かつてロックシンガーとして一世を風びした“男”はある事件をきっかけに音楽を封印し、現在はビルの清掃会社で働きながら質素に暮らしている。仕事場とアパートを往復するだけの日々を過ごす彼にとって、かつて自分のファンだった同僚・寺田だけが心を許せる相手だった。男の隣家には会社の同僚である“女”が住んでおり、毎晩のように女と母親の激しいやりとりが聞こえてくる。ある日、公園でひとり口ずさんでいた女の歌声を耳にした男はその才能を確信し、旧知の音楽プロデューサー・矢吹に女の歌を聴くよう頭を下げる。女の可能性を信じたアシスタント・望月のサポートもあり、女はチャンスをつかんでいく。そして男もまた、自分の歌が他人の心に火を灯すことに気付かされる。
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