1980年代後半。11歳の少女フキは、両親と3人で郊外の家に暮らしている。ときに大人たちを戸惑わせるほどの豊かな感受性を持つ彼女は、得意の想像力を膨らませながら、自由気ままに過ごしていた。そんなフキにとって、ときどき覗き見る大人の世界は、複雑な感情が絡み合い、どこか滑稽で刺激的だった。しかし、闘病中の父と、仕事に追われる母の間にはいつしか大きな溝が生まれていき、フキの日常も否応なしに揺らいでいく。
マイペースで想像力豊かなフキが空想にふけりながらも、周囲の大人たちの人生に触れていく様子を通して、人生のままならなさや人間関係の哀感を温かなまなざしとユーモアをもって描く。フキ役はオーディションで選出され、撮影時は役柄同様に11歳だった鈴木唯。フキの母・詩子を石田ひかり、父・圭司をリリー・フランキーが演じるほか、中島歩、河合優実、坂東龍汰らが顔をそろえた。