二人のアウシュヴィッツ脱走者のレポートが、12万人のユダヤ人の命を救った実話に基づく物語。1944年4月、アウシュヴィッツ=ビルケナウ収容所。遺体の記録係をしているスロバキア人のアルフレートは、日々多くの人々が殺される過酷な収容所の実態を外部に伝えるため、同じスロバキア人のヴァルターとともに脱走を実行した。脱走が明るみになり、残された同じ収容所の囚人らは、何日も寒空の下で立たされ、ラウスマン伍長から執拗な尋問を受けていた。仲間の助け・想いを背負った二人は、ひたすら山林を国境に向けて歩き続けた。今にも倒れてしまうほど疲弊していたが、奇跡的に助かり、赤十字によって救出された二人は、赤十字職員のウォレンにアウシュヴィッツの信じられない実態を告白しはじめた。果たして、彼らの訴えは世界に届くのか―。二人の証言をもとに作成され、収容所のレイアウトやガス室の詳細などが書かれた32ページにも渡るレポートは、「ウルバ=ヴェツラー・レポート(通称アウシュヴィッツ・レポート)」として連合軍に報告され、12万人以上のハンガリー系ユダヤ人がアウシュヴィッツに強制移送されるのを免れた。本年度アカデミー賞国際長編映画賞スロバキア代表作品。監督はペテル・ベブヤク。
[The Auschwitz Report/2020年/スロバキア・チェコ・ドイツ/94分/DCP/PG12]